~キルギス遠征~ ①
- 杉原かずき

- 2 日前
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更新日:1 日前
「中央アジアにキルギス共和国という国があって、めちゃくちゃ安く滞在できてアルパインクライミングできる!らしい・・・」
という話を聞いたのは何年か前のウィンタークライマーズミーティングだった。
「らしい・・・」というのはそこに行ってクライミングした日本人はおろか西欧人がほとんど居ないからだ。英語で検索してもちょっと写真が出てくるくらいで全然わからない。
そもそも行こうと思った時点でキルギスが地球のどこにあるのかさえ知らなかった。
キルギス共和国はユーラシア大陸のど真ん中にある国だ。古くはシルクロードの要衝として栄えた遊牧民の国で、旧ソ連衛星国のひとつである。
シルクロード的アルパインクライミングができるのか⁈ すごいロマン。

調べていると「Kyrgyz Alpine Club」というのが見つかった。しかもかつては日山協と交流があったらしい。で、メールを送ると英語でやり取りできた!ここでキルギス国内の山岳エリアや適期についてたくさん情報を貰うことができて、やっと概念が把握できた。キルギスで登山しようとする人は問い合わせてみると良い。HPはあまり機能していないが、メールすれば親切になんでも教えてくれる。キルギス国内には民間レスキュー機構(遭対協的な?)があり、そこへの登録も仲介してくれた。他にも僻地へのアプローチ手配や許可取得などエージェント的なこともやってくれるそうだ。
キルギスは国土のほとんどが山岳地帯で特に中国とタジキスタンの国境付近は天山山脈が連なり、レーニン峰やハンテングリといった有名な7000m峰や超難しそうな6000m峰がたくさんある。それ以外にも未踏峰を抱えた山域も広大で、我々クライマーにとって新たなフロンティアとなる可能性を秘めている。
思ったよりもキルギスの山が壮大過ぎたので、初回は彼の地でのアルパインクライミングとはどんなものなのか、偵察も兼ねて比較的手頃なエリアを探した。そしたらあった!しかも首都ビシュケクから車で1時間くらいのところにモンブラン周辺のアルプスくらいの規模で4000m後半くらいの山が沢山あるエリアがあった!その名は「Ala Archa National Park」。
Ala Archa National Parkは日本でいうところの松本→上高地・穂高のようなポジションの場所で、キルギスではけっこう有名な観光地らしい。日本のそれと違うところは公園ゲートから3時間くらい歩くと氷河の舌端で、そこから上は氷河から登攀意欲をそそる岩山がにょきにょき生えていること。
クライミングのメインエリアとなるのは「Ak-say glaciar」。氷河舌端には営業小屋があり、
氷河の中ほどには各岩山を登るのにベースとなる無人小屋もある。まさに"キルギス・デビュー”にはうってつけのエリアだ。
今回の遠征ではAk-say glaciar源頭部にある2つの山を目標に定めた。
最初に目指すのは「Korona peak」4860m

北面は難しそうな壁だが、西~南面にかけては山頂近くまで氷河がせりあがってる。順応向きかな?と判断したのだが、氷河が緩くつながっているのか?上部のクライミングはどの程度なのか?いまいちよくわからないままだった。
2本目、本命となるのは「Free Korea peak」4740m

この山は超カッコいい。壁の高差800mちょい、Ak-say glaciar側がグランドジョラスみたいになっている。この壁のど真ん中の氷のラインはレジェンドHenry Barber初登(ソロ!)だそうで、我々もこのラインを狙うことにした。ちなみに1本右側のやや短い氷はあのJeff Lowe初登だそう。
期待に胸が膨らむ。
次回に続く。